思いつきでリヨン ・・・ 5
さて、サン・ジャン=バティスト教会からすこし道をそれたところに、ちょっと可愛らしい一角があります。
実はこれ、中世の建物を、60年代にリノベーションして仕上がったものだということが、Traboules & Miraboules という本の中に書かれています。
当時ポール・ブゥシェという、お金のない人たちのための弁護士がいました。彼とその仲間らの事務所が、所有していたアパートの一角ではこと足りなくなり、建物全体を購入したのが始まりでした。
彼らは自分たちの手で建物のリノベーションをくり返し、それが素晴らしい事業となったので、自治体も援助してくれるまでに発展したそうです。
先ほど出てきた Traboules & Miraboules(トラブゥル・エ・ミラブゥル)とはなにかというと。
トラブゥルのほうは中世のころ建物の中に作られた、外に出ることなく建物内(複数)を行き来するちいさな通路だったもの。ミラブゥルのほうは、建物同士をつなぐのでなく、中庭に作られた塔のようなもの(下の写真)にたどり着く通路だそうです。
かつてはリヨンの230あまりの道に、315ものトラブゥルがあったのだそう。今でもいくつか残っていて、ちいさな目印のタイルをたどりながら見学することができます。
前回2002年の旅ではともだちが車を出してくれて、たくさんのトラブゥルを見て回ったのを憶えています。これが、リヨンを大好きになったキッカケといっても過言じゃないくらい。
そしてお気づきかしら、窓が、下からだんだんに小さくなっているんです。
これは、身分の差から来ているのだそう。召使いなどを雇っている家族が大きな窓のあるいちばん下の階に住み、上に行くほど身分の低い者が住んでいたのだそうです。
この時代に生まれなくてよかったなぁ!